• Chizuko Shiraiwa

注射はどこに打つ?


「ワクチン接種部位肉腫」という名前の悪性腫瘍があります。これはその名前から推察されるとおりワクチンを打った部位に発生する腫瘍です。以前はワクチンでのみこの腫瘍が出来ると考えられていましたが、現在ではワクチンのみならずあらゆる薬剤によっても同様の腫瘍が発生する事が明らかになり、「注射部位肉腫」と言われるようになっています。

この腫瘍は非常に悪性度が高く、マージンを大きくとって摘出しても再発率は高く、長期生存率はよくありません。

発生率は10,000分の1くらいなので罹患する確率は非常に低いのですが、愛する猫に良かれと思ってうけた治療で癌になると思うと怖くなるのではと思い、どうお伝えすればよいのか悩み、更新出来ずにいました。ごめんなさい。

愛する我がニャンコ様がこのような腫瘍になるならば、あらゆる治療を受けないのが良いのでしょうか。一生のうちに自動車事故で死ぬ確率も10000分の1らしいので同じ確率です。交通事故にあうかもしれないから外出しないという発想に似ているかもしれません。病気の時に治療する事によって具合が良くなる率はこの腫瘍になる率を大きく上回ります。

ならば獣医師としての最善は?

この悪性腫瘍になった場合、手術で取り除く範囲は腫瘤周囲最低2㎝以上と言われています。猫の身体のサイズを考えるとそれはかなり大きく、頸部だとサージカルマージンは胸腔に達してしまいます。

何を意味するかというと、首に打った注射が原因でこの腫瘍になった場合、腫瘍を完全に取り切ることは不可能となりますし、足先に注射したならば最悪、断脚で命を救う事が出来ます。

断脚は猫にとって不幸!そう思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、4足歩行の猫たちは2足歩行の私たちとは違います。足1本にかかる重さは人間の体重の50%に対し猫は後肢15%、前肢は頭部を支える必要があるので35%と言われています。事故などで後肢を失った猫たちの運動能力の素晴らしさは目を見張るほど!

最終的に伝えたいことは

必要な注射は接種すべき!

そして、その部位は腫瘍になったとしても摘出に問題のない部位がベスト!

1才以降のワクチン接種は3年に1度

もしくは抗体価を調べ、必要な時期になるまで接種しないというのも良いでしょう。

もし、猫ちゃんが注射されて痛がった場合、

「A病院で首に注射してもらった時は痛がらなかったのに、B病院では足に注射されて痛がったからこの病院はダメね!」っていう発想はダメ!一瞬痛くても、もし腫瘍になってもちゃんと摘出可能な部位に注射を受けるのがBestと理解しましょう。

次のような症状が認められる場合には病院で診てもらってください。

・過去に受けた注射部位に腫瘤が認められる

・大きくなり続けている

・3ヶ月以上存在する

注射を受けてから発症するまでの期間は4週間から10年と言われていますので最近注射していないから安心とは言えません。まずは注射を受けたと思われる部位をそっと触ってみてくださいね!


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